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ぶどう膜炎とは

ぶどう膜炎は、眼球内部にある「ぶどう膜」と呼ばれる組織に炎症が生じる疾患です。ぶどう膜は虹彩(茶目)、毛様体、脈絡膜からなり、眼の血液供給を担う重要な組織です。医学的には「内眼炎」とも呼ばれ、さまざまな原因により発症します。
ぶどう膜炎の部位により4つに分類
- 前部ぶどう膜炎(虹彩炎・虹彩毛様体炎)
- 中間部ぶどう膜炎
- 後部ぶどう膜炎(脈絡膜炎・網脈絡膜炎)
- 全ぶどう膜炎
ぶどう膜炎の症状
- 霧視(かすみがかかったように見える)
- 飛蚊症(黒い点や糸くずのような浮遊物が視界に現れる)
- 羞明感(光がまぶしく感じる)
- 視力低下(炎症の程度により軽度から重度までさまざま)
- 眼痛(特に前部ぶどう膜炎で強く現れる)
- 充血(白目の部分が赤くなる)
症状は片眼のみに現れる場合と両眼に現れる場合があり、また両眼交互に症状が現れることもあります。症状の経過も、徐々に悪化するケースから、良くなったり悪くなったりを繰り返す再発寛解型までさまざまです。
ぶどう膜炎の原因
全身の免疫異常によるもの
- サルコイドーシス
- 原田病(ハラダビョウ)
- ベーチェット病
- 強直性脊椎炎
- 関節リウマチ
感染によるもの
- 細菌性眼内炎
- ヘルペスウイルスによる虹彩毛様体炎
- トキソプラズマ症
- 結核
その他
- 外傷
- 悪性腫瘍
- 眼内手術後の炎症
ぶどう膜炎と診断されても、
約3分の1のケースでは原因疾患が特定できないこと
があります。
このような場合は「特発性ぶどう膜炎」と呼ばれます。
ぶどう膜炎の検査
ぶどう膜炎の診断と原因特定のために、次のような検査が行われます。
眼科的検査
- 細隙灯顕微鏡検査(前眼部の詳細観察)
- 眼底検査
- 蛍光眼底造影検査(網膜や脈絡膜の血管状態を評価)
- 光干渉断層撮影(OCT)(網膜の断層画像を撮影)
- 眼圧測定
全身検査
- 血液検査(炎症マーカー、自己抗体など)
- 胸部X線検査(サルコイドーシスなどの診断に有用)
- ツベルクリン反応検査(結核の可能性を調べる)
診断が困難な場合には、眼内液の採取や診断的治療目的の手術が行われることもあります。ぶどう膜炎は目以外の全身にも症状が現れることが多いため、詳細な問診と全身検査が非常に重要です。
ぶどう膜炎の治療
ぶどう膜炎の治療は、原因疾患や炎症の重症度に応じて異なりますが、基本的には薬物療法が中心となります。
局所療法
- 副腎皮質ステロイド点眼薬で炎症を抑制する
- 散瞳薬(mydriatics)で虹彩と水晶体の癒着(虹彩後癒着)を予防する
- 周囲組織へのステロイド注射で炎症が強い場合に実施
全身療法
局所治療だけでは改善しない場合や、炎症が強い場合には全身療法が行われます。
- 副腎皮質ステロイド薬の内服または点滴
- 免疫抑制薬(シクロスポリン、メトトレキサートなど)の投与
- 生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など)の使用
感染性ぶどう膜炎の治療
感染が原因の場合は、原因となる病原体に有効な抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などが使用されます。
合併症と注意点
ぶどう膜炎が適切に治療されない場合、次のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 副腎皮質ステロイド薬の内服または点滴
- 免疫抑制薬(シクロスポリン、メトトレキサートなど)の投与
- 生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など)の使用
症状が現れたら早期に眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
また、治療中も定期的な通院と医師の指示に従った服薬が必要となります。
つじおか眼科のぶどう膜炎治療

当院では、最新の検査機器を用いたぶどう膜炎の精密検査と、患者様の症状や原因に合わせた適切な治療を提供しています。必要に応じて内科や膠原病内科など他科との連携も行い、総合的な診療を心がけています。
ぶどう膜炎は早期発見・早期治療が視力予後に大きく影響するため、充血や霧視、飛蚊症などの症状がある方は、お早めにご相談ください。