硝子体注射について

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硝子体注射

硝子体注射とは

硝子体注射は、最近になって眼科で行なわれるようになった治療法ですが、現在ではかなり多く行なわれています。

《適応疾患》

  • 加齢黄斑変性症
  • 糖尿病網膜症に伴う黄斑浮腫
  • 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
  • 強度近視による脈絡膜新生血管 など

これらの疾患はVascular Endotherial Growth Factor=VEGF(血管内皮増殖因子)が、網膜内の毛細血管から漏れ出し、新生血管の増殖や黄斑浮腫を引き起こし視力低下を来しています。
抗VEGF硝子体内注射はこのVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより病気の進行を抑制する治療法です。

現在、抗VEGF硝子体内注射に使用する薬剤は、ルセンティス、アイリーア、ラニビズマブBS、ファリシマブ、ベオビュが日本では認められています。

抗VEGF薬による治療は、一旦症状がよくなっても、再発することもあります。気が付かないうちに症状が進行して視力が低下したり、見えにくい範囲が広がったりするのを防ぐためにも、定期的な検査と治療が大切です。

当院では、視力検査、眼底検査などを定期的に行いながら、患者様の状態に適した治療スケジュールで行っています。

滲出型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管腫症、近視性脈絡膜新生血管、脈絡膜血管腫状増殖 黄斑浮腫(網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病網膜症のそれぞれに伴うもの)など病気の説明

滲出型加齢黄斑変性症

眼球をカメラに例えるとフィルムにあたる網膜のほぼ真ん中に黄斑(おうはん)と呼ばれる部分があります。
黄斑はものの詳細を見分けたり、文字を読んだりするのにとても大切な場所です。
さらに、黄斑の中心は中心窩と呼ばれ、視力にもっとも重要な場所であり、中心視力の実に90%を担っています。
滲出型加齢黄斑変性症は、網膜の下の脈絡膜というところから黄斑の網膜に向かって、新生血管という正常とは違う血管が生えて、出血したり、血液中の水分(滲出液)が漏れて溜まってしまうことで、中心部に見えないところやゆがみが生じ、視力が低下する病気です。
新生血管が脈絡膜の中にとどまっているものをI型、脈絡膜を突き破って網膜まで到達しているものをII型と呼びます。
50歳以上の約1.2%(80人に1人)に見られ、年を重ねるごとに多くなり、患者数も年々増える傾向にあります。

新生血管が発生する原因となる物質

新生血管が発生・発育して、血液や滲出液がもれだす原因物質としてVEGF(ブイイージーエフ)が見つかっています。
VEGFは正常な血管を形成し、維持するために不可欠な物質ですが、本来は必要のない血管を発生させるなど、加齢黄斑変性では悪いはたらきをします。

ポリープ状脈絡膜血管腫症

加齢黄斑変性症の種類の中でも、網膜下・網膜色素上皮下出血・漿液性色素上皮剥離をおこし、血管の先端がこぶ状(ポリープ)になるもの(血管新生を起こすもの)をポリープ状脈絡膜血管腫症といいます。この病気を放置すると、ポリープの破裂に伴い出血が拡大し、中心視力及び視野は急速に失われます。

このポリープの形成にVEGFが関与していることが分かっており、VEGFを抑えることでポリープを閉塞させることができます。ポリープ状脈絡膜血管腫症は比較的日本人に多い疾患であることが判明しており、喫煙が発症・進行の危険因子であることが指摘されています。

この疾患の治療法としては、抗VEGF薬の硝子体注射が第一選択ですが、それでもポリープが閉塞しない場合には光線力学療法を併用する場合もあります。

近視性脈絡膜新生血管

近視が原因で黄斑部に新生血管を生じる病気で病的強度近視の方の5~10%に起こる病気です。

強度の病的近視の方の場合、眼軸(目の前後の長さ)が非常に長く、その分網膜は引き伸ばされて黄斑部付近の血流が非常に悪い状態にあります。この時、脈絡膜からVEGFが放出され、黄斑に新生血管を形成します。

治療としてはやはり抗VEGF薬が第一選択です。40歳代の比較的若い方でもみられます。加齢黄斑変性と異なり、病気の再発は比較的少ないのも特徴です。他の黄斑に新生血管を生じる疾患にも共通しますが、主な症状として、以下のような症状が挙げられます。

  • 見たい部分がぼやけて見える(視力低下)
  • 見たい部分が歪んで見える(変視症)
  • 見たい部分が欠けて見える(暗点)
  • 黒い点や虫のような影が飛んで見えたり、視野の一部に光が走る(飛蚊症・光視症)
脈絡膜血管腫状増殖

これも脈絡膜新生血管が原因の病気ですが、80歳代以上のご高齢の方にみられる病気です。
新生血管が脈絡膜と網膜の間でがっちりと網目状のネットワークを形成し、新生血管を形成する病気の中では非常に難治性の病気です。
黄斑部に軟性ドルーゼンという血管からの老廃物が溜まって集まっている所見が特徴的です。
治療としては抗VEGF薬の硝子体注射の他、光線力学療法やステロイドのテノン嚢下注射など様々な治療を組み合わせて行われます。

黄斑浮腫(糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症に伴うもの)

糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症は進行するとVEGFを放出すると共に血管の壁がもろくなり、そこから血漿成分やタンパク質などが網膜の中や下に漏れ出します。
黄斑部は特に網膜の構造が弱くたまりやすいので、黄斑浮腫となります。黄斑浮腫は上に挙げた以外にもぶどう膜炎や白内障術後でも生じることがあります。
黄斑浮腫が生じてくると、中心視力の低下や「視野の中心が見づらくなる」、「真ん中がかすんで見える」、「人の顔や文字がゆがむ」などの症状が現れます。
これらに対して、抗VEGF薬を硝子体に注射する事で黄斑浮腫を改善し、中心視力の悪化を防ぐ事が出来ます。
また、炎症に伴って起こってくる場合には抗炎症薬であるステロイドをテノン嚢という眼外に注射する方法もあります。そして、血管のつまりが高度になった場合には黄斑外にも新生血管を形成してきますので、網膜レーザー光凝固を併せて行う場合もあります。

当院では、これらの複合的な治療を患者様おひとりおひとりの目の状態に合わせて相談しながら迅速に行うことが可能な体制を整えております。

黄斑浮腫は、治療により一旦消失したとしても原因となる病気が完治しない限り再発する可能性があります。完治するまでは、生活習慣に気をつけると同時に片目づつつぶって見て日々の見え方に気をつけるようにしましょう。
健康な視力を維持するためにも黄斑浮腫は早めの治療が肝心です。

硝子体内注射の方法
注意点など

硝子体注射は、注射後の注意点を守ってさえいれば比較的自由に日常生活をすることができます。
しかし、眼内への処置である以上、感染症の危険は非常に低いですが、白内障手術や硝子体手術と同程度の確率で生じます(約2000分の1程度)。
注射前後に説明をしますので順守して下さるようお願いいたします。

  • 入浴

    注射当日は首から下のみ入浴は可能です。

  • 洗髪・洗眼

    注射当日は、直接目に水が入るような洗髪・洗眼はお控えください。翌日からは可能です。

  • お化粧

    アイシャドウ・アイライン・マスカラ等の目の周りの化粧は感染の誘引となりますので2~3日はお控えください。
    手術翌日から、眼の周りはさけ、ファンデーション・眉のお化粧は可能です。

  • TV・読書

    注射当日から可能ですが、目が疲れない程度にしてください。

  • 飲酒

    注射当日はアルコールをお控えください。

  • 仕事

    デスクワークなどのお仕事は手術翌日から問題はありません。目に力が入るような力仕事や作業などはお控えください。

  • 運動

    ウォーキングは翌日から可能です。ジム、筋トレ、プール、ゴルフ、テニス、ヨガは注射後2~3日の間はお控えください。

当院での硝子体注射の計画

《脈絡膜からの新生血管が原因となる病気の場合》

  • 脈絡膜からの新生血管が原因となる病気(滲出型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管腫症、網膜血管腫状増殖)は、初期治療として、抗VEGF薬を4週間毎に3回硝子体注射します。
  • その後は光干渉断層撮影(OCT)などの画像検査にて効果を見ながら、視力低下や出血・網膜下液の増加などの悪化の所見がみられれば適宜追加の硝子体注射を施行します。
当院での硝子体注射の計画

《脈絡膜からの新生血管が原因となる病気の場合》

  • 近視性脈絡膜新生血管や黄斑浮腫を伴う病気に対しては、まず1度ステロイドのテノン嚢下注射もしくは抗VEGF薬の硝子体注射を行います。
  • その効果をOCTなどでみて浮腫の再発や自覚的視力の低下があれば、適宜追加の硝子体注射を施行します。原因となる病気によっては、網膜レーザー光凝固などを組み合わせて行います。

手術実績

単位:眼 合 計 白内障手術
(多焦点眼内レンズ含む)
網膜硝子体手術 その他手術
(翼状片、眼瞼手術など)
硝子体注射
(テノン嚢下注射含む)
網膜光凝固術 YAGレーザー
後発白内障手術
2024年 632 360 25 18 153 17 59
2023年 613 341 17 3 150 24 78
2022年 664 391 25 2 161 26 59
2021年 766 415 19 3 203 54 72
2020年 688 373 19 7 145 68 76

※表は左右にスクロールして確認することができます。

合 計
2023年 613
2022年 664
2021年 766
2020年 688
2019年 918
2018年 958
白内障手術
(多焦点眼内レンズ含む)
2023年 341
2022年 391
2021年 415
2020年 373
2019年 486
2018年 487
網膜硝子体手術
2023年 17
2022年 25
2021年 19
2020年 19
2019年 38
2018年 44
その他手術
(翼状片、眼瞼手術など)
2023年 3
2022年 2
2021年 3
2020年 7
2019年 29
2018年 12
硝子体注射
(テノン嚢下注射含む)
2023年 150
2022年 161
2021年 203
2020年 145
2019年 176
2018年 166
網膜光凝固術
2023年 24
2022年 26
2021年 54
2020年 68
2019年 70
2018年 76
YAGレーザー
後発白内障手術
2023年 78
2022年 59
2021年 72
2020年 76
2019年 119
2018年 173

〒547-0027  大阪市平野区喜連1-1-11

日・祝
午前9:00-12:00 診察手術
午後15:30-18:00 手術

木曜午前は、手術および診察を行います。
休診日:水曜日午後、土曜日午後、日曜日、祝日

06-6701-1101