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ドライアイとは
ドライアイは、涙の質や量に異常が生じ、目の表面を覆う涙の膜（涙液膜）が不安定になることで、さまざまな眼の不快感や視機能障害を引き起こす疾患です。日本では約2,200万人もの患者さんがいると推定され、現代社会におけるデジタル機器の普及や生活環境の変化により、さらに増加傾向にあります。
涙の構造と機能
涙は単なる水ではなく、複雑な構造を持っています。健康な涙液膜は主に2層構造となっています。
| 脂質層（油層） | 最表層にあり、涙の蒸発を防ぐ役割をします。 |
|---|---|
| 水性層 | 脂質層の下にあり、タンパク質や電解質などを含む水分です。 |
これらの層が調和して機能することで、目の表面を滑らかに保ち、光をきれいに屈折させ、目の表面を保護しています。
涙の産生と排出のメカニズム
涙は主に涙腺で作られ、瞬きのたびに目の表面に広がります。涙は目の表面で一部が蒸発し、残りは目頭にある小さな穴「涙点」から涙道を通って鼻の奥へと排出されます。この産生と排出のバランスが崩れると、ドライアイや逆に涙があふれる状態が生じます。
ドライアイの症状
ドライアイの症状は多岐にわたります。一般に考えられている「目が乾く」だけでなく、次のようなさまざまな症状が現れることがあります。
- 目の乾燥感
- 視界のかすみ（特に長時間の作業後に悪化）
- 眩しさ（光に対する過敏反応）
- 目の疲労感・倦怠感
- 目の痛み
- 異物感（ゴロゴロする感じ）
- 充血（目の赤み）
- 涙が出る（皮肉なことに、ドライアイでも反射的に涙が出ることがあります）
- 目やにの増加
これらの症状は、環境要因（低湿度、エアコンなど）や活動（長時間のデジタル機器使用など）によって悪化することが多いです。
ドライアイの危険因子
| 加齢 | 年齢とともに涙の量や質が低下します |
|---|---|
| 性別 | 女性、特に閉経後の女性に多く見られます |
| 生活習慣 | 長時間のスマートフォンやパソコン使用、読書など（瞬きが減少） |
| 環境要因 | 低湿度、エアコン、暖房、風の当たる場所 |
| コンタクトレンズの使用 | 特に長時間の装用 |
| 薬剤の使用 | 抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、利尿剤など涙の分泌を減少させる薬 |
| まぶたの異常 | 瞬きの異常やマイボーム腺（脂質を分泌する腺）の機能不全 |
| 加齢による結膜（白目）のシワ | 涙の安定性に影響します |
| 全身疾患 | シェーグレン症候群、関節リウマチなどの自己免疫疾患 |
| 眼科手術後 | 特にレーシックなどの屈折矯正手術後 |
ドライアイの検査
ドライアイの診断には、複数の検査を組み合わせて行います。
涙液膜破壊時間検査（BUT）
特殊な色素で涙を染め、目を開けたままでどれくらいの時間で涙液膜に破綻が生じるかを測定します。
角結膜染色検査
同じく特殊な色素を用いて、目の表面のキズや炎症の程度を評価します。
シルマーテスト
涙の分泌量を測定する検査です。
涙液層評価
涙の質や量、安定性を評価します。
マイボーム腺評価
まぶたの縁にある脂腺（マイボーム腺）の状態を観察します。
ドライアイの治療
ドライアイの治療は症状の程度や原因によって異なりますが、主に次のような方法があります。
薬物療法
- 人工涙液（不足している涙の成分を補う点眼薬）
- ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬（水分保持効果を高める点眼薬）
- ジクアホソルナトリウム点眼薬（涙の分泌を促進する点眼薬）
- レバミピド点眼薬（目の表面の粘液を増やし保護する点眼薬）
- シクロスポリン点眼薬（炎症を抑える点眼薬）
その他の治療
- 涙点プラグ（涙点を一時的に塞いで涙の排出を抑える方法）
- マイボーム腺ケア（温罨法やマッサージによりマイボーム腺の機能改善を図る）
- セルフケア指導（生活環境の改善、適切な画面使用法、瞬きの意識化など）
日常生活での対策
ドライアイの症状を軽減するために、日常生活で以下の点に注意しましょう。
適切な湿度を保つ
加湿器の使用や洗濯物を室内に干すなどしましょう。エアコンの風が直接目に当たらないようにすることも大切です。
定期的な休憩
デジタル機器を使用する際は、20分ごとに20秒間、20フィート（約6メートル）先を見る「20-20-20ルール」を心がけましょう。
意識的に瞬きをする
特に画面を見ているときは瞬きが減りがちなので注意しましょう。
コンタクトレンズ装用時間の調整
必要に応じて眼鏡の併用も検討しましょう。
バランスの取れた食事
オメガ3脂肪酸（青魚など）を含む食品が有効とされています。
つじおか眼科でのドライアイ治療
当院では、患者様お一人ひとりの症状や生活環境に合わせた最適なドライアイ治療をご提供しています。最新の検査機器を用いた精密検査により、ドライアイの状態を正確に評価し、症状の程度に応じた治療計画を立案いたします。
慢性的な目の不快感や見えにくさでお悩みの方は、お気軽につじおか眼科までご相談ください。適切な治療により、多くの場合症状の改善が期待できます。
