黄斑上膜

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黄斑上膜とは

黄斑上膜とは

黄斑上膜(おうはんじょうまく)は、網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜などとも呼ばれる眼疾患です。網膜の中心部である黄斑の表面に薄い膜(セロファン様の膜)が形成される状態を指します。この膜が次第に収縮すると、網膜自体にしわが生じ、視機能に影響を及ぼします。
黄斑上膜は主に高齢者に多く見られる疾患であり、年齢とともに発症リスクが高まります。50〜70歳代で発見されることが多く、加齢に伴う生理的な変化として生じる場合と、他の眼疾患に続発して生じる場合があります。

黄斑上膜の原因

黄斑上膜の原因は大きく分けて以下の2つに分類されます。

特発性(加齢性)黄斑上膜

明確な原因がなく、加齢に伴って発生するタイプです。全体の約80〜90%を占め、以下のような機序で発生すると考えられています。

  • 加齢に伴う硝子体後部剥離(眼球内部のゼリー状の物質が網膜から自然に剥がれる現象)
  • 網膜表面の細胞の増殖・変性
  • 内境界膜(網膜の最内層)の微細な損傷

このタイプは進行が非常に緩やかで、数年から10数年かけてゆっくりと症状が進行していきます。

続発性黄斑上膜

以下のような眼疾患や状態に続発して発生するタイプです。

  • 網膜剥離やその手術後
  • ぶどう膜炎などの眼内炎症性疾患
  • 網膜静脈閉塞症などの網膜血管疾患
  • 眼外傷
  • 糖尿病網膜症

続発性のものは特発性と比較して進行が早いことが多く、症状も重症化しやすい傾向があります。

黄斑上膜の症状

黄斑上膜の症状は、膜の厚さや収縮の程度によって異なります。初期段階では多くの場合無症状であり、定期的な眼科検診や人間ドックなどで偶然発見されることも珍しくありません。
症状が進行すると、以下のような自覚症状が現れます。

  • 直線が歪んで見える、文字が歪む、物の形が変形して見える(変視症)
  • 特に読書や細かい作業が困難になる(視力低下)
  • 視界の中心がぼやける
  • 片目で物を見た時に二重に見える(単眼複視)

症状の進行は通常緩やかですが、続発性の場合はより急速に症状が悪化することがあります。また、両眼に発症することもありますが、症状の程度は左右で異なることが一般的です。

黄斑上膜の検査

黄斑上膜の診断と評価には以下のような検査が行われます。

眼底検査

散瞳薬で瞳孔を開いた状態で、眼底を詳細に観察します。黄斑上膜は網膜表面に光沢のあるセロファン様の膜として観察され、周囲の網膜にしわが形成されていることが特徴です。

光干渉断層計(OCT)検査

現在の黄斑上膜診断において最も重要な検査です。網膜の断層画像を非侵襲的に撮影することで、以下の評価が可能となります。OCT検査により、治療の必要性や手術のタイミングを判断する重要な情報が得られます。

  • 膜の厚さと範囲
  • 網膜のしわや変形の程度
  • 中心窩(視力に最も重要な部位)の形状変化
  • 網膜の層構造の変化

変視の評価検査

  • アムスラーチャート(格子状の図形を用いて、直線の歪みを検出)
  • Mチャート(直線の歪みの程度を数値化する検査)

その他の検査

続発性が疑われる場合や、ぶどう膜炎などに併発するケースでは、次の検査も行われることがあります。

  • 蛍光眼底造影検査(炎症の活動性や血管の状態を評価)
  • 眼底自発蛍光検査(網膜色素上皮の状態を評価)

黄斑上膜の治療

黄斑上膜の治療は、症状の程度により異なります。

経過観察

経過観察

このような場合は、定期的な検査による経過観察が選択されます。

  • 無症状または軽度の症状の場合
  • 日常生活に支障がない程度の変視や視力低下の場合
  • 高齢や全身状態により手術リスクが高い場合

特発性の黄斑上膜は進行が非常に緩やかであることが多く、数ヶ月ごとの定期検査で状態を確認します。稀に、自然に膜が剥がれて症状が改善することもありますが、これはごく少数のケースです。

硝子体手術

このような場合は、手術治療が検討されます。

  • 変視症が強く、日常生活に支障がある
  • 視力が著しく低下している
  • 症状が比較的急速に進行している
硝子体手術の手順
  • 硝子体(眼球内部のゼリー状の物質)を除去
  • 特殊な染色液で膜を染色し、視認性を高める
  • 微細なピンセットを用いて膜を丁寧に剥離・除去
  • 必要に応じて内境界膜も剥離

手術は通常、局所麻酔下で白内障手術と同時に行われることが多いです。日帰り手術または1〜2日の入院で行われるのが一般的です。

手術の効果と予後
  • 多くの患者さんで手術後に変視症が軽減します
  • 特に症状が比較的早期の段階で手術を行った場合に効果的です
硝子体手術の注意点
  • 手術前の状態や症状の持続期間により、改善の程度は異なります
  • 長期間症状が続いていた場合、完全な視機能の回復が得られないことがあります
  • 再発の可能性があります(約5%程度)

つじおか眼科での黄斑上膜治療

つじおか眼科での黄斑上膜治療

当院では、最新の検査機器を用いた正確な診断と、患者様の症状や状態に合わせた適切な治療方針のご提案を行っています。
黄斑上膜は早期発見が重要であり、特に50歳以上の方は定期的な眼科検診をおすすめします。変視症(物が歪んで見える)や視力低下を感じられた場合は、お早めにご相談ください。
手術が必要と判断された場合は、専門医療機関と連携し、適切な治療へとつなげ、手術後のフォローも丁寧に行い、患者様の視機能の回復をサポートしてまいります。

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